ホーチミン タンソンニャット国際空港 その2(運用編)

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前回に続きまして、今回はタンソンニャット国際空港 運用編です。

 

なぜ遠回りするの?

あるお客様から降り際に質問されました。
テレビに映し出された地図を見ていたら、空港のすぐ近くで向きを変えて遠回りをしましたがなぜですか?

お答えします。空にそういう道が出来ているからです。
・・・といったら身も蓋もないので、ちょっと詳しくお話しします。

下の地図は東側からタンソンニャット国際空港に進入するときに使う、STAR(Standard Terminal Arrival Route)と言います。
日本語では「標準到着経路、又は標準計器到着方式です。

 

通常は”DOVIN” という地点を起点に進入を開始し、緑で示された線を飛んでいきます。
数年前まで比較的空いていたころは、ほぼ真っ直ぐ空港に向かっていました。
しかし航空交通量も増え同じ時間帯に沢山の飛行機が集まってくるようになると、管制官がレーダーを見ながら誘導するのも限界になりました。

そこで飛行機が同じ間隔で同じ道を通るように定めたのこれです。
飛ぶコースは決まっているので、管制官は降下する高度とスピード指定してあげればいいだけ。管制官の業務量が減って安全にも貢献するわけです。

しかしこの地図のように空港手前で大きく左に旋回するために、どうしても遠回りになってしまうのです。

進入中この空域の飛行機が減ってくれば、途中どこからでも「直接“SOKAN” に向かえ」と指示されることもよくあります。
運がよければスパッと直線で進入することもあります。それだけで10分は変わってきますよ。
それを期待して遠方からスピードを調整しながら、先ほどの“DOVIN”に向かってるんですけどね・・・なかなか思い通りにはいかないものです(涙)

 

なぜ着陸機を待ってるの?

また別のお客様からの質問。
滑走路2本あるのになぜ他の飛行機が着陸するのをを待ってから離陸するの?

なかなか鋭い質問ですよね。
縮尺が違いますが、また下の地図をご覧下さい。一つはタンソンニャット空港、もう一つは、バンコク スワンナプーム空港です。



両空港とも滑走路は2本ですが、スワンナプーム空港は隣の滑走路に飛行機がいようがいまいが関係なく離着陸を行っています。

違いは・・・そうです。両滑走路の間隔です。
この両滑走路の間隔が1300 ~ 1500m 未満しかない場合は両滑走路への「同時離陸・着陸」はできないという規定になっているのです。
間隔が十分ある場合は両滑走路をそれぞれを独立して運用できるようになります。つまり両滑走路で、「同時離陸・着陸」が可能となります。

従って十分な間隔のない タンソンニャット空港は、他の飛行機が着陸するときは離陸機は待たなければならないのです。

 

ボーディングブリッジがあるのになぜ遠くにとめるの?

いや~これよく言われるんです。
日本から長いフライトを終え、入国するのになぜバスに乗ってターミナルビルに行かなきゃならんのか。

タンソンニャット空港では、駐機場は次の便に備えて決められます。
使用機材の次便がベトナム国内線の場合、国内線に便利な駐機場に止められます。
他国の飛行機の殆どは、ホーチミン到着後も国際線としてそれぞれの御国に戻りますので、国際線ターミナルに駐機します。
長旅でお疲れのことと存じますが、パイロットに決定権がないのでご容赦ください。

 

まとめ

飛行機に乗っていると納得できない理不尽と思われることもあるかもしれませんが、規定に縛られてどうしようもないことも多いのです。
快適な空の旅を提供できるよう日々努力しておりますので、どうかご理解いただきますようお願いいたします。

本日のご搭乗誠にありがとうございました。

 

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コメント

  1. コムタム より:

    はじめまして。
    飛行機沖止めの場合ってそう言う事だったんですね。
    チャイナエアの時はターミナルで、VNエアの時は沖止めなのはなぜなのかなあ?と疑問に思っていました。

    • XV9OKXV9OK より:

      コムタム様
      コメントありがとうございます。
      そうなんです。国内線も国際線もベストなパーキングスポットがあるのですが、そこに指定されると「ラッキー!!」なんて副操縦士と喜んでいます(笑)