世界でもかなり優秀と思われる、ベトナムにおけるコロナ対策についてお話したいと思います。
現状
ベトナム保健省によると2020年7月17日現在
総感染者数:381人
入院患者数:25人(重傷者数:0人)
退院者数:356人
死者:0人
私の住んでいるホーチミン市においては今日現在62人全員退院し、感染者は0とのことです
政府の対策
1月23日にベトナム国内で初の感染者が中国出身と判明すると、政府はほとんど中国人へのビザ発給を停止しました。
さらに企業に対して中国人労働者を寮やホテルに隔離するように指示。
2月まで 5,000人 以上の中国人を隔離したそうです。
1月30日、国内感染者が6 人の段階で国内流行宣言を発令。
そして軍や大学の寮を隔離施設として使い、最大で8万人に及ぶ住民が収容されたようです。
また感染者および濃厚接触者または濃厚接触者の接触者等を6段階(F0~F5)に分け、それぞれ何をするか明確にされました。
F0:感染者
F1:F0の濃厚接触者
F2:F1の濃厚接触者
F3以降同じようにF5まで続きます。
隔離政策はとても厳しいものでした。
感染者がマンションに住んでいたとすると、そのマンション丸ごと封鎖されます。
同じマンションの住人が、感染者と接触があったかどうかは関係ありません。
隔離中はマンションからの外出が禁じられ(監視が付きます)、食事はデリバリー頼み。
最低2週間。その間にPCR検査をして、建物に住む人全員が陰性でないと外出禁止が解かれなかったようです。
さらに4月1日から、「社会隔離」と名付けた外出制限を開始。
不要不急の外出や、公共の場所において3人以上で集まることを避けるよう国民に要請しました。
日本と同じように命令でなく要請なのですが、バスやタクシーも営業停止し、外出しているところを見つかると警察が職質するという徹底ぶりだったようです。
しかしスーパーや薬局は通常営業を続け、買いだめパニックも殆ど見られず、普通に買い物はできました。
実際物不足を感じたことはありません。
また貧困者の為に無料のスーパーや無料のお米の自動販売機などが設置され、国全体でコロナと闘おう!という姿がはっきりと見えてました。
その結果は、感染者の殆どは外国から帰国してきた人々のみで、市内での人から人への感染は認められないということです。
その頃私達は・・・
当時私たちは中国各地へのチャーターフライトが沢山ありましたが、直ちにその観光客全てを帰国させるフライトになりました。
中国への便は満席で飛び、乗客を降機させた後は機内清掃の為の中国人スタッフを機内に入れず、燃料だけを補給して直ぐにベトナムに帰ってくる。そんなフライトを続けていました。
パイロットや客室乗務員は常に感染のリスク持っています。
その便に乗ったお客様の中に感染者いたと分かると、直ちに当該乗務員は隔離されます。
私も2月、上記の F1 の副操縦士とのフライト行っため F2 に認定され2週間の自宅隔離を経験しました。
幸い当時はそれほど深刻でもなかったせいか、家にいて毎日2回体温を報告するだけでしたが・・・。
そして国際線を全便欠航。会社の収入が悪化し、外国人パイロットは全員無給休暇となりました。
私も例にもれず3か月間ステイホーム。
しかしアパートのオーナーがとてもいい人でして、家賃をすぐに20 %OFF に・・・感謝
そして現在
「社会隔離」も解かれ、普通の生活が戻ってきました。
レストランも、バーも、マッサージ屋さんも、道端のカフェも、みんな営業開始。
しかし街に出てみると爪痕は残っています。あちこちお気に入りのお店が閉店となっていました。
私達外国人パイロットも少しずつ復帰を始めています。
ベトナムでは9月からが新学年で、現在は夏休み中。
夏休みいっぱいは、経済を活性化するために航空券は破格の値段で売られています。
市内でタクシー乗るより安いチケットもあるとかないとか・・・(笑)
おかげさまで、殆どの便が満席!機内はお子様もいっぱい!!です。
が・・・私達の給料は4分の1以下に抑えられています(涙)
現在はまだ特別な場合を除き、乗客用の国際線は運航されていません。
しかし客室に荷物を満載した貨物便としては各国に飛んでいます。
問題はこのフライトを終えた乗務員は2週間隔離されるということ。その間の給与その他の保証は無し・・・
ちょっとリスク高過ぎですよね。できたら飛びたくないぁ。
思うこと・・・
日本でここまで徹底した対策を強いるのは日本では難しいでしょうね。
やはり、社会主義の国だからでしょうか・・・
しかし、こうした政策による政府への不満はベトナム国民からほとんど聞かれないということは、政府への信頼度が高いのだと思います。
ベトナム政府の取った手段は多少強硬だったのかもしれませんが、被害を最小に留め、国内の経済活性化に繋がってきています。
日本もベトナムからヒントが得られたらなぁと思わずにはいられません・・・。
最近国際線の復活がささやかれてきています。
この先ベトナムがどんな政策で新たな感染を防ぐのか楽しみです。
忘れていましたが、ベトナムは実は2003年に世界で初めて SARS を制圧した国 でもあったんですよ。
あぁ・・・今年は帰国はできないだろうな・・・(涙)
最後まで読んでいただきましてありがとうございました。
コメント
ベトナム政府が早い段階で協力な対応をしたことは聞いていましたが、まさかここまでとは。
凄いですね。
>また貧困者の為に無料のスーパーや無料のお米の自動販売機などが設置
これって、現在もあるんですか?
コムタム様
いつもありがとうございます。
さすが社会主義国というところでしょうか。いい意味で国民が団結していますね。
ベトナム人のお話しでは、お米の自販機はタンソンニャット空港近くの TAN PHU 区でまだやっているとは聞いてますが、確認はしていません。
すみません。